【企業社長】「お客様の想いをカタチにする」株式会社特発三協製作所 片谷社長にインタビュー!
こんにちは!インターン生の北井です!
本日は、株式会社 特発三協製作所様へインタビューに伺いました!
尼崎市に本社工場があり、オーダーメイドの精密薄板ばねを手がけておられます。大手自動車メーカーの部品では国内有数のシェアを獲得し、2007年には、「元気なモノ作り中小企業300社」に選ばれておられる会社です。
では早速、片谷社⻑にインタビューしたいと思います!
お客様の想いをカタチにする
北井:特発三協製作所では、精密薄板ばねを製造されておられます。貴社の経営方針である「お客様の想いをカタチにする」という言葉について教えてください。
片谷社長:そもそも、ばねというのは、抑える、引っ掛けるなど何かの役割を持っている部 品です。ばねが欲しいお客様はあの形がただ欲しいのではなく、求めている役割を果たすバネが欲しいのだと、私は考えています。だから、ただあの「形」を作るのではなく、お客様の求める役割を「カタチ」にしたいと考えていくうちに、経営方針になりました。 また、覚えていかないといけないのは、「お客様」と一言にいっても、設計担当や組立担当のお客様で求めるばねは違います。社員は「ただ作れば、それでいい」という考えになってしまいがちです。ですが、 納期通りに届くばねが欲しいということがお客様の想いであれば、納期までに、確実に届けるところまで含めて、「お客様の想いをカタチにする」ということだと思います。 この考えが浸透してからは、今まで機能していなかった材料の在庫管理も徹底して行うようになりました。その結果、納期までに出来上がらないというようなことはなくなりました。
「今まで通り」を変えられる力を培う
北井:特発三協製作所では、全員経営・全社営業という言葉をテーマにされておられます。
片谷社長:はい。そうですね。
北井:全社員が経営に携わるとなれば、財務状況など会社の現状を伝えていかなければならないですよね。それはとても労力がいると思うのですが、それでも行う理由は何かあるのですか?
片谷社長:社員目線で考えると、自分の行動がどう会社に影響しているかがわからなけれ ば、自分の働きが良かったのか、それとも悪かったのかが判断できないと思います。だから会社の状況や利益などは全社員に伝えています。自分の働きが成果を出しているとわかれば、モチベーションにも繋がります。逆に、成果が出ていないと、別の方法を考えるようになります。頑張ったから良いでしょで終わりにはして欲しくないんです。テストに例えると、結果のわからないテストは嫌でしょう?
北井:結果がわからないテストは確かに嫌ですね。笑 なるほど、自分の行動の結果が分かれば、良いにしろ、悪いにしろ次へ繋げられますね。
片谷社長:そうです。社員には自分で考えて行動できるようになって欲しいのです。ロボッ トのように同じことを何も考えずにやっていたら、お客様の考えや社会の流れが変わってきた時に、対応できず失敗する可能性があるのです。今まで通りうまくいくためには、今まで通りの仕事を変える必要があると思います。そのような変化に対応できる力を培うための全員経営だと考えてます。
営業は、全社でしている
お客様が「任せたい」と思う会社になるには
片谷社長:もうひとつのテーマである全社営業は、営業担当だけが営業をしているのではないということです。
北井:他にどんな方が営業をしているのですか?
片谷社長:営業は全社でしていると私は思います。例えば、仕事を頼もうかと考えられてい るお客様の中で、実際に会社に直接来られる方が多いです。それはどうしてだと思いますか?
北井:どんな製品が作られているのか見たいからだと思います!
片谷社長:見に来られたお客様が何を見ているのかというと、製品だけでなく会社全体を見ています。営業ではなく、作業場で製品を作っている「人」のことも見ているのです。20代から60代という幅広い世代の社員が活気にあふれて作業している方が、これから5年、そして 10 年と安定して仕事ができる会社だと思われます。社員を見て「じゃあこの会社に頼もう!」となるのです。直接製品を売り込んでいなくても、全員が営業の役割を持っているんです。
北井:製品を作る人も営業の役割を担っているとは考えたこともなかったです!!先ほど会社全体とおっしゃられましたが、社員様以外にもお客様に見られているところがあるんですか?
片谷社長:例えば、同じ美味しさなら、汚い店と綺麗な店と、どっちに入りますか?店の綺麗さも営業のひとつです。それと同じで営業になるものはたくさんあります。例えば、お客様は機械の稼働率や今までの会社の実績を見て、仕事を頼むかを決めます。
北井:では、全員経営や全社営業をテーマにしたことで、社員様の変化はありますか?
片谷社長:すぐにはないですね。各社員の成⻑度や生活環境によって伝わるタイミングは違うので、常に言い続けています。
モノの本当の価値がわかるようになるために
北井:月に1度、その月に誕生日を迎える社員の方々と食事会を開催されておられます。それはどのような目的で行われているのですか?
片谷社長:社員に、安いモノが良いという考え方だけを持つのではなく、モノの本当の価値 がわかるようになってほしいという想いで食事会を開催しています。 食事会を始めた最初の年は、私が個人経営の居酒屋を選びました。その店はチェ ーン店の居酒屋の料金とほとんど同じだけれど、美味しさが全く違います。その店を選んだのは同じ値段でも価値の提供の仕方が違うことを、実感してもらいたいと考えたからです。
北井:価値の提供の仕方には違いがあり、同じ値段でも良いモノを提供できることを知ることは仕事にも役に立つ考え方ですね。
片谷社長:そして次の年からは、社員に店を選んでもらいました。しかし、社員は普段行く 値段の安い店ばかりを選んだので、それ以降の年は金額設定を行い、一人につき 8500円〜15000円で設定外の差額は自腹としています。 食事会で普段行かない店に行くことで、社員自身にも変化が見られるようになりました。例えば、今まで焼肉が嫌いで食べられなかった社員が、食事会で食べた高級店の焼肉は美味しく食べていました。今まで安い肉だけを食べて、焼肉は美味しくないものだと判断していたのです。 モノの本当の価値がわかるには、悪いモノから良いモノを知ることが大切です。良いモノを知らないと、それが悪いモノかどうかを判定できず、本当の価値がわかりません。食事会を通して、社員の価値観を広げていくことができれば良いと考えています。
北井:食事会にそのような目的があることにとても驚きました。目的があり、それを達成するための手段として様々な取り組みがあるのですね。会社の取り組みの目的を知れば、よりその会社を理解できると思いました。
北井:では最後に就活生に向けてアドバイスをお願いします!
片谷社長:会社の選び方は何を基準にするかが大切です。会社の悪い点を説明する説明会はありません。だから実際に働いている人を見て、自分がなりたい姿に近いのかを見るべきだと思います。30歳の時にどんな自分になっていたいのかを考えてみることも大切です。
北井:女子大学生に向けてアンケートをとった時に、「自分の強み」がわからないという意見も多くありました。
片谷社長:みんなそれぞれ、部活や友達同士という小さなコミュニティなどに入っていると思います。その中で自分の役割ってひとつはありませんか?実はそこが自分の強みだったりします。それに、地道にずっと何かを継続できることが、強みになるようなこともあります。 完全に自分を知ることを急がず、色々挑戦して、時には失敗しながら、自分の強みを見つけていけばいいと思います。そのためにも、気づくチャンスを自分から作って、迷ったらまずはやって見ることですね。
北井:リーダーになっているなど、目立つ役割しか強みにならないと思っていましたが、自分らしいものを見つけることが一番大切なのですね。また、自分を早く知ろうと、焦らなくてもいいことにも気づかされました。たくさん挑戦する中で、見つけていきたいと思います。
学生の私には難しい話も、身近なものに例えてわかりやすくお話してくださりました。インタビューをさせていただき、自分で考えながら働くことがいかに大切か学ぶことができました。ありがとうございました!
会社紹介
【設立】1959年12月(昭和34年12月)
【代表者】代表取締役社長 片谷 勉
【本社工場】〒661-0975 兵庫県尼崎市下坂部3-6-1
【主な製品】金属バネ製造:板バネ、皿バネ、ウエーブワッシャー、金型製作、試作
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